Borneo Indonesia
Pontianak 20030222
ボルネオ一周の旅/
Trip around Borneo
2003年2月22日(土)

ポンティアナへ飛ぶ。ここはインドネシア、国境を越えてインドネシアに戻った。ということは、イミグレーションがある。カスタムチェックでまたまたパソコンとカメラをやられた。俺のだ!!さっさと一人で通過してしまったアブ先生を呼び、持っていた書類をいろいろ出して、携行品であることをやっと認めてもらって通過。必ず何か言われる。
ここでもやはり卒業生がいて、バディさんが案内人。この人はクリスマスの休暇のときにサマリンダで会った人だ。車と運転手を用意して待っていた。有薗と同じぐらいの年齢のようだ。日本の大先生のことも、日本女子カナ・コバのことも、トモのことも知っている。ポンティアナに来て間もない新入社員らしい。勤めは肥料会社だとか。土日が休みなのでつきあってもらえる。
湿原の街/
Swamp town
ピートランドの農地の見学。いろいろの作物を作っていてピートランドが農地専用に使えることがよく分かった。果樹なども大きくすると、地盤が弱く倒れてしまうので、トゥンパンサリには向かない。ピートを排水処理などの土地改良で乾燥させれば有機物に富む土壌ができる。日本と同じような農業がここではできるのではないだろうか。






アロエ/
Aloe

ここでは食用アロエの生産もしていて、市場にはたくさん出ているようだ。試しに道脇の食堂で食べてみた。調理過程も見せてもらった。皮を剥いて、寒天状の葉肉を取り出し、刻んで、水でもみ洗いして、水に漬けてあくだしして、湯で再び洗って、さらに煮て、湯を切って、また水で洗うという、あくと繊維を取り除く行程だった。この結果、緑色のところてんのようなプルプルした葉肉が食べれる。結構めんどうだ。食べる葉肉自体には味もなにもなく、結局カキ氷のシロップのようなものを入れて食べる。ココナッツジュースと一緒だ。ところてんのように酢でもいいとか。あまり自分で作って食べたいとは思わない。工場で同じようにこの過程を踏めばコスト高は免れないが、アロエヨーグルトやアロエジュースはどうしているんだろうか?

















成型炭の工場/
Briquettee

成型炭の工場を見た。炭を作って粉にして、サグヤシから取れるでんぷんを糊にして、ところてん方式で押し出し、それを切って、タバコの箱ぐらいに成型してある。日本の豆炭みたいなものだ。こんな形をした練炭は日本では見たことがない。インドネシア国内で使うのだろう。聞いてみると、主にレストランなどで使うらしい。
テンカワン油の工場を見つけて、事務所を訪問。見学はできない。テンカワンの実と種類を見せてもらった。主に5種類あり、工場では分別していないようだ。分別して精製すれば、種によって品質の高い油をとることができることは知っているが、そんなことはとてもできないとか。油は実を絞るだけで取れるという。歩留まりは悪そうだ。絞りかすは堆肥にする。袋詰めにされた堆肥が工場の裏に山と積んであった。一部は家畜飼料として出て行くのだとか。工場で作られるテンカワン油は日本向けの輸出が多いらしい。思い起こせばテンカワン油という言葉には覚えがある。何だったか思い出せないが、食品だろうか成分表示に書かれていたような気がする。
工場のテンカワンを分けて欲しいといえば、本社の事務所に言ってもらいたいと断られた。どっちにしても、今日明日は土日で本社は休み、直接頼めなければ入手の可能性はない。月曜日朝にはここを発つので、訪問の時間もない。出発を遅らせるか?
夜の食事は、今日の運転手と別の運転手とバディさんも一緒になり、テンカワン探しの大作戦会議。テンカワンのありそうな場所は、市場か、産地。季節外れだから、市場にはないだろうが、一応探してみようということで今日の運転手さんが手を挙げ、一人で行ってもらうことになった。明日は産地の山村へ行くから車は四輪駆動が必要で、運転手さんと車は交替。明日の運転手さんは「村で訪ねてみれば、少しはあるかもしれない」とのこと。
明日がテンカワン探しの勝負だ。研究室でホワイトチョコレートを作るための原料探しはここまで来た。















2003年2月23日(日)
天然ゴム/
Rubber





テンカワン発見/
Tengkawang appears


終日テンカワン探し。テンカワンはdeptorocarpus に属し、種から油をとれるいくつかの樹種をさして言う。もともと原生林の樹木だから、山にしかない。
山村まで突っ走って、あちこち聞きまわり、たどり着いた村の家で、500mlのペットボトルに詰められたテンカワン油に遭遇した。それは、バターのように固まり、赤道直の熱さでも溶けてはいない。これをご飯にのせて食べると絶品だとか、村の人は言う。北海道人や東北人がよくやるバターご飯と同じだ。村の女性は、肌にこれを塗ると美しくなるのだといって笑っている。しかし使っている様子はない。
欲しいのは油ではなくて実、さらにアブ先生が盛んに尋ねると、いろいろな人が集まってきて、ああでもないこうでもないと言い始めて、大変な騒ぎになってきた。結局テンカワン四方山話になり、この村では、10種類ぐらいのテンカワンが採れて、取れる季節は9月と12月。メインは9月。12月に採れるのは9月の残りのようなことだった。10種のテンカワンは実の大きいものから小さいものまであり、収穫時季には大きいものを狙って集める。理由は、大小関係なく重さでいくらという換金になるからだ。小さいものを集めていては労力の無駄になる。しかし、小さいものの方が質は良いという。みんなで集めて金に換えたあと、自家用の実を集めるが、それは必然的に小さいものになる。大量にはいらないから、小さくても良い。それが500mlのペットボトルに入った上等のテンカワン油だ。





テンカワンは村の多様な林産物の一つ/
Tengkawang as one of various village products




































テンカワンの搾油/
The way for pressing Tengkawang oil

それはどこでどうやって油にするんだ?早速村の人が奥の集落まで連れていってくれた。 ここでは、ウリンの木材ではさんで絞る装置をつくり、テンカワンの実をそのままこれで絞るといい、実演して見せてくれた。装置はダヤックの伝統だとか。しかし実は無い。油だけを人間用にし、絞りかすは豚の餌にするという、ダヤックの村はイスラムではないので豚が野放しで飼われている。
ここでも人が集まってきて、わいわいし始めた。そこで、だれか実を持っていないかとリーダー格の人に聞いてもらうと、一人突っ走って去っていった。ほどなく袋を抱えて戻ってきた。あった。約7kgのテンカワンの実。















テンカワンでアグロフォレストリー/
Agroforestry using Tengkawang

テンカワンを採る山が観たいとまた駄々をこねてみると、直ぐそこだと言われた。テンカワンは原生林の樹木だから、原生林か択伐林にしかないのだろうと思っていたが、直ぐそこにはそんな林は無い。二次林と畑に囲まれた集落だ。直ぐそこという場所にあるっていくと。ドリアンやランプータンやパティなど樹木から実の取れるもので林が作られ、その中に巨大なテンカワンがあった。集落内にはこうしたテンカワンがいくつもあって、植えられ、育てられていた。木材以外の産物を生産しながら木材を作る。アグロフォレストリーだ。アブ先生は大喜び。












テンカワンを集める時季には集落外の山へも遠征して集めるが、主体は集落近くで育てられたものから集める。テンカワンの生長は早いが、植栽時には日陰を必要とする。だからドリアンやランプータンやパティなどの果樹を最初に植えて、間に農作物を作る。農作物が取れなくなったら、テンカワンを植える。というトゥンパンサリのやり方だ。
実際に今植えている場所を見にいくと、さっきのやり方とは違っていた。ゴム林からの転換をねらった林内植栽だった。カリマンタンでは、もともとゴム生産のために造られたゴム林は、ゴムのあまりの安さにゴムを採るのをやめて放置され、二次林状態になっているところがよくある。ここも同じようで、この二次林の林床にテンカワンを植えているのだ。周りのゴムには巻き枯らしの処置をして、徐々に明るくなるようにしてあった。ついでにテンカワンだけでなく、ドリアンやランプータンなどの果樹類も植えられていた。テンカワンが大きくなるまでの換金作物ということになる。枯らしたゴムは薪にするという巧みな設計に感心した。
日本式炭窯/
Japanese style charcoal making
この村には炭焼き窯があるというのでついでにいってみた。そこにはインドネシア人の若者が一人いて、炭焼き講習をここでするのだという。顔も身なりもきれいで、まさに都会人だ。村の人ではない。本人はボランティアでここにいて、炭焼きをしているとか。
JICAのプロジェクトの名前が出てきたばかりか、日本の炭焼き名人・ギンさんの名前まででてきた。ギンさんというひとはこんなところでも炭焼き爺さんなのか。日本に帰ったら前橋の森づくりの会のミヤ代表に話してあげよう。ミヤさんはギンさんの大ファンだから喜びそうだ。





少なくともこの村はオランジャパンの出入りの多い村らしい。元はテンカワンにかかわっているのだろう。何とかと言う人はこの村に住み、村の人と結婚し20年住んだあと、奥さんと子供を連れて日本に帰ったという。ひょっとすると炭焼きや巻き枯らしの方法は、もとをただせばこの人が残していったものかもしれない。
ともあれ、テンカワンを手にすることのできた1日が終わった。
後日談:テンカワンライスを試そうと思い、油も譲ってもらってお土産にしたが、サマリンダへ帰ってみると、テンカワン油は美容に良いとのことで、アブ先生の家へのお土産も、下宿に持ち帰ったお土産もとうとう口にすることはなかった。
湿地林業と湿地農業/
Swamp Agriculture and Forestry














2003年2月24日(月)
ポンティアナからバリクパパンへそしてサマリンダ、ボルネオ一周完了! 日本からやってきた女子学生はホテルメスラーに入る。








